放浪の向こう側 Another World

海外放浪記/洋楽翻訳/個人コラム

浜ゆでにされた占いタコのラビオ君 私達は喜ばしくない真実より心地良い嘘を求めるものなのか

今日私はまた、あの奇跡の洋食屋さんにいた。

 

開店と同時に入店し、まだ他の客が誰もいないお店には

レトロなラジオからニュースが流れており

ランチを食べながらぼんやりと聞いていた。

 

W杯の勝敗を占うタコとして、一躍有名になったタコのラビオ君。

生けすで保管と説明されていたが、実はすでに浜ゆでにされて出荷されていた、

というなんとも可哀想なニュースだった。

「一度水揚げされたタコは急速に弱って、鮮度が落ちてしまうため

浜ゆでして出荷された」ということらしいが

嘘の説明をしていたことについて水産会社は

「出荷したと言ってしまうと、夢がなくなると思った」と述べている。

 

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これはたまたま見つけた海外の風刺画だ。

 

私たちが無意識に(あるいは意識的にも)メディアに求めているもの

「COMFORTING LIES」心地よい嘘 である。 

そしていつの時代も人気がないのが、「UNPLEASANT TRUTHS」喜ばしくない真実だ。

これはメディアに限らず、人生のあらゆる局面で言えることであろう。

 

 

そして2代目ラビオ君なるものは、次の日本対ベルギー戦当日に

水揚げされることになっており、彼はW杯終了まで生かされる予定だとか。

 

なんか、どこまでも人間都合だよなーと。

どうも生き物をおもちゃにしているんじゃないかと、憤慨してしまうのは

私だけだろうか。

 

 

今頃どこかの家の食卓に上がっているであろう、初代ラビオ君。

お勤めお疲れ様でした。どうか安らかにお休み下さい。

 

サッカーの勝敗にさほど興味のない私が今気になっているのは

W杯終了後の2代目ラビオ君の運命のゆくえである。

どうか、どこかの水族館に保護してもらうとか、もし可能であれば

また海に返してあげてほしいと願うばかりだ。

 

【追記】

2代目ラビオ君の予想は的中することなく、日本はベルギーに敗退した。

日本代表選手帰国。成田空港には800人もの人達が出迎えた。そして西野監督の退任。

今もニュースはW杯の興奮の余韻で盛り上がっている。

果たして2代目ラビオ君はどうなったのだろうか?

梅雨空の下、モヤモヤとしたものが今も胸の中をうずまいている。